骨伝導ヘッドホン「AfterShokz Aeropex」を購入して数ヶ月経ったので、レビュー記事を書こうと思います。
なお今回は最初にまだ骨伝導ヘッドホンを体感したことがない人向けに、簡単な骨伝導の仕組みとメリット・デメリットの紹介を行い、次に他の骨伝導ヘッドホンとの比較、最後にその他細かい点や裏技的使い方について書こう思います。なので、すでに骨伝導ヘッドホンを使ったことがあり「Aeropex」のレビューのみが読みたい方は『4』からお読み下さい。
【目次】
「骨伝導」で音が聞こえる仕組みを簡単に説明すると、空気の振動である音が耳の中の鼓膜(※.下の画像で言うと「4」)に伝わり、いくつかの器官を経て「蝸牛」と呼ばれるカタツムリの殻の様な形の器官(※.下の画像で言うと「10」)に到達します。そこから脳に情報が伝達され音として認識されるのですが、骨を伝って蝸牛に振動が到達しても、それが音として認識されます。それが骨伝導の仕組みです。
Image by Iain(CC BY-SA 3.0)
例えば耳の穴を完全に塞いだとしても、外の音が全く聞こえなくなる訳ではないでしょう。それは骨などを伝って振動が蝸牛に伝わっているからです。
ちなみに仕組みに関しては以下のページで分かりやすくまとめられているので、もう少し詳しく知りたい方はそちらをご覧下さい。
・【骨伝導について】骨伝導ヘッドホン・イヤホンなど:ゴールデンダンスオンラインショップ
・骨伝導とは?その仕組みと音質、安全性について:補聴器専門店プロショップ大塚(認定補聴器技能者運営)
次に上記の仕組みで実際どう聞こえのるか?と言う点について。普通のイヤホン・ヘッドホンと違って耳を塞いでいないでの、使用中でも周りの音はほとんど変わらず聞こえます。それに加えて音楽やラジオなどの音が聞こえるので、まるで脳の中だけで音が再生されてる感じです。もし漫画やドラマなどで登場する「テレパシー」が実際使えたとしたら、こんな感じで相手の声(音)が聞こえるのではないかと思います。
音質についてですが、骨伝導はそもそも高音質にするのが難しいそうです。そのため普通のイヤホン・ヘッドホンと比べると、骨伝導ヘッドホンは音質的には少し物足りない感じがします。今回紹介する「AfterShokz Aeropex」は骨伝導ヘッドホンの中では音質がかなり良く、普通のイヤホン・ヘッドホンと比べても音質的に特に不満はありませんが、それでも高音質のイヤホンと比べると、臨場感にやや欠ける感じがします。
あと骨伝導ヘッドホンだと、音量があまり大きくは出せないそうです。今回紹介する「AfterShokz Aeropex」は骨伝導ヘッドホンの中では割りと大きな音で聞けますが、私が試した他の骨伝導ヘッドホンだと、あまり大きな音は出せませんでした。なお音量に関しては裏技的なやり方もあるので、興味があれば下記『8』の「裏技」を見てみて下さい。
骨伝導ヘッドホンのメリットと言えば、何と言っても「周りの音が聞こえること」でしょう。使用中も使用してない時とほとんど変わらず、周りの音が聞こえます。そのため夜道や車通りが多い道などでは、周りの状況が音でも把握できるので、安全に移動することができます。また職場や自宅などでは周りの人と会話しながら音楽等が聞けるので、円滑なコミニケーションが図れるでしょう。
しかし「周りの音が聞こえる」と言うことは、良いことばかりではありません。例えば車通りの多い道では車の走行音は結構うるさいので、それが影響して骨伝導ヘッドホンの音が聞こえづらくなります。ただこの場合でも音楽を聞いてる場合は、必ずしも音を一音一音正確に聞く必要はないので、あまり気にならないかもしれません。しかしラジオで誰かが喋ってるのを聞いたり誰かと通話ししてる場合は、聞き取りづらいこともあるでしょう。
このように骨伝導は使いやすい場面や状況が多少限定されます。なので実際購入する前に、自分がどう言う場面や状況で何に使いたいのかを、一度考えた方が良いと思います。
※. Tips: iPhone で使用する場合「大きな音を抑える」と言う設定をオフにすると、周りがかなりうるさいくても聞こえやすくなります。ちなみに iOS 15 の場合 [サウンドと触角 >ヘッドホンの安全性] のところに設定があります。
ちなみに「電車やバスで通勤・通学する際に使いたい」と考える方もいるかもしれませんが、電車やバスの車内は想像してる以上にうるさいので、骨伝導は向いてないです。それでも「どうしても周りの音が聞こえる状態で音楽等を楽しみたい」と言う方は「AirPods Pro」を始めとするマイクで集音して周りの音も聞こえるイヤホン・ヘッドホンがいくつか出ているので、そちらを買った方が良いと思います。
・Appleストア名古屋栄でAirPods Proを試してみた感想 : Kyu3’s Blog
・ソニーのノイキャン&外音取り込み機能付きワイヤレスイヤホン「WI-SP600N」レビュー(追記あり) : Kyu3’s Blog
今回購入前に「AfterShokz Aeropex」を含め、4つの骨伝導ヘッドホンを試しました。試したのは同じ AfterShokz の製品「AfterShokz Air」と「Titanium」、そして Amazon でも売ってた1万7千円くらいする中国メーカー(※.メーカー名を忘れてしまいました)の製品です。
ちなみに試した場所は名古屋市内にある「ヨドバシカメラ マルチメディア名古屋松坂屋店」です。現在はどうか分かりませんが、私が行った時は上記の4製品が全て試聴可能でした。なお AfterShokz の製品はそれなりに知名度も人気もあるので、主要都市の主要駅前等にある大きな家電量販店に行けば、たぶん置いてて試聴できるのではと思います。
実際試した感想ですが、この4つの製品の中では「AfterShokz Aeropex」が一番良かったです。音質、特に音の明瞭さは他製品の数段上と言う感じでした。加えて他製品では5〜10分聞いたあとヘッドホンを外すと、ヘッドホンの振動部が触れていた部分(耳とモミアゲの間)が少しジンジンしましたが、「AfterShokz Aeropex」はそれがまったくありませんでした。ちなみに購入後2・3時間連続で聞き続けたこともありますが、その時もジンジンすることはありませんでした。
Aeropex の音を出す振動部分↓↓
<
ちなみに装着感に関して言うと「AfterShokz Aeropex」と「Air」はほとんど差は感じませんでしたが、それでも「Aeropex」の方が良かったです。
次に Aeropex の操作性についてですが、正直 操作性はあまり良くありません。音量以外の操作は、基本的に左側に付いてる「マルチボタン」1つで行うのですが、このボタンが少し押しにくいうえ、割り当てられてる操作を覚えなくてはならず、それがちょっと面倒です。
ちなみにマルチボタンに割り当てられてる機能と操作方法は、以下の通りです。
マルチボタン↓↓
ただ実際上記の機能を全て使う訳ではないので、必ずしも全部の操作方法を覚える必要はないでしょう。しかし意図せず他の機能が実行されることもあるので、ある程度覚えておいた方が良いかとは思います。ちなみに私はこれまで2回ほど誤って「リダイヤル」を実行してしまい、焦りました。
あと音量ボタンは『+』(プラス)ボタンが電源ボタンを兼ねています。こちらに割り当てられてる機能と操作方法は、以下の通りです。
音量調整ボタンと電源コネクタ↓↓
ちなみにこの音量ボタンも右耳の後ろ側になる部分にあって押しづらいので、私は Aeropex の操作はほとんどスマホで行っています。
次に充電について。 Aeropex はこれ以前に発売された AfterShokz の製品「AfterShokz Air」や「Titanium」と違って MicroUSB ケーブルでなく、独自方式の充電ケーブルで充電する必要があります。
付属してる独自方式の充電ケーブル↓↓
このケーブルは接続部分に磁石が入っていて、接続や取り外しが簡単にできます。また水分が付いてないかを検出する機能もあるので、使い勝手自体は結構良いと思います。しかし外出先で充電したい場合はこのケーブルも持って行く必要があるので、その点はちょっと面倒かもしれません。ちなみにこのケーブルは、Amazon で単体で販売されています。
あと仕様ではバッテリー駆動時間が「8時間」、満充電にかかる時間が「2時間」となっていますが、だいたい仕様通りだと思います。
次に上記で触れていない細かな点について2つほど。まず「音漏れ」に関してですが、Aeropex を買う前に店員さんに付けてもらって試したのですが、ほとんど気になりませんでした。相手の耳がくっつくくらい近づいたり、あるいは振動する部分に触れるようなことがあればそれなりに音が聞こえるかもしれませんが。音漏れは普通のイヤホンとほとんど変わらないと思います。
次に「音声アナウンス」に関して。Aeropex は電源オンオフや Bluetooth 接続完了など、様々な操作で日本語の音声アナウンスが流れます。日本語で接続完了や操作内容が分かると言うのは、分かりやすくて良いと思います。ただ音声案内の音質や声が、あまり良くないのが少し気になります。
あとちょっとした裏技的使い方について。上記の通り骨伝導ヘッドホンは周りの音に影響を受けるので、うるさい場所だと聞きづらいです。しかしそれに対処する方法もあるにはあります。それは耳の中に指など何かを入れることです。これによって外からの音を一定程度遮断したうえ、耳の中で骨伝導ヘッドホンの音が反響する(?)のか、それなりに大きな音で聞くことができます。ちなみにこのため用と思われる少しサイケデリックな耳栓が、製品に付属しています。
付属品の耳栓↓↓
ただしこの方法で聞こえる音は、かなりこもった音になります。そのため一時的対処法としてこのやり方をするのは良いと思いますが、長時間このやり方をするのはお薦めしません。それにそもそも耳に何か入れた状態で長時間聞くのなら、普通のイヤホンを使った方が良いと思いますし。
ちなみに冬場だとイヤーマフなどの耳あてを一緒に使用しても、音を少し大きくすることができます。この場合はこもった音にはならないので、結構お薦めです。
・「耳あて」で検索:Amazon.co.jp
最後に購入後1年過ぎたので、その間どうだったかについて書こうと思います。1年以上経ちましたが、その間ほぼ毎日使っていますが、特に問題なく使えています。まれに接続が切れてしまう不具合が発生しました(1年間で2・3回?)が、切れてもすぐ接続が復活するので、特に気になりません。なので、丈夫さと言う意味でも謳われてる通りだと思います。
あと「5. 操作性について」で書いた間違ってリダイアルしてしまう問題も最初のうちだけで、その後気をつけてるので、まったく起きなくなりました。
購入から2年間ほぼ毎日のように使いましたが、特に問題なく使えてました。バッテリーの劣化も感じませんでしたが、1つ気になる点がありました。それは装着時の後頭部の飛び出し。
あと新しいのがそろそろ買いたいと言うのもあって、Aeropex を eイヤホンで売却し「OpenRun Mini」を購入しました。
・Shokz ショックス AEROPEX コズミックブラック:e☆イヤホン
ちなみに eイヤホンでの売却額は「上限6500円」(2022年9月現在)とのことでしたが、「追記 その9」で買いたようにヘッド部分のカバーが外れてしまい、それをボンドで直したので、残念ながら「4500円」でした。
あと「OpenRun Mini」は Aeropex とほぼ性能は同じです。しかし後頭部側の部分が少し短いのと、急速充電が付いています。もし感電量販店等で装着してみて後ろの出っ張りが気になるようでしたら、こちらの「OpenRun Mini」がお薦めです!
【関連リンク】
・AfterShokz Aeropex 公式ページ
【関連記事】
・音が良く作りや使い勝手も良いHarman Kardonのワイヤレスイヤホン「FLY BT」レビュー : Kyu3’s Blog
・Appleストア名古屋栄でAirPods Proを試してみた感想 : Kyu3’s Blog
・タグ「イヤホン」 : Kyu3’s Blog・・・上記以外のイヤホン関連の記事が見られます。
AfterShokz の日本語公式 Twitter アカウントで知ったのですが、Aeropex の後ろ側のネックバンド部分がひと回り小さくなった製品が発表されていました。もし普通の Aeropex だとバンド部分が大き過ぎると感じるのであれば、こちらの製品にしてみてはいかがでしょう?
【関連リンク】
・AfterShokz Aeropex Play 公式ページ
『PC Watch』の記事で知ったのですが、AfterShokz が12月10日から 2021個限定で福袋を販売するそうです。価格は 2万210円で、2個骨伝導ヘッドホンが入っていて、必ず1個は Aeropex が入ってるとのこと。もし購入を検討してる人がいたら、こちらを購入してみてはいかがでしょう?
・AFTERSHOKZ GIFT BOX 2021 ニューイヤー福袋キャンペーン:AfterShokzJP・・・公式ページの福袋販売ページ。
【関連リンク】
・AfterShokz、骨伝導ヘッドホンが2個入った福袋:PC Watch
骨伝導ヘッドホンの使用感について追記。使用感として一番近い感覚は、たぶんスピーカーだと思います。スピーカーで音を聞いてるんだけど、周りの人には音がまったく聞こえていない状態。使ったことがない人にはちょっと分かりづらいかもしれませんが。
あとこれだと『3』の「骨伝導で使いやすい場面や状況」で書いた騒音の問題が伝わりやすいと思います。周りの音がうるさい場所でスピーカーで音楽等を聞くと、当然周りの音に影響を受け、音楽が聞こえづらくなります。
Twitter で知ったのですが、Aeropx の4色中3色が、Amazon のタイムセールになっていました。通常約2万円が1万5千円になってるので、購入を考えた方は、この機会に購入してはいかがでしょう?ちなみに期限は現在「残り2日」となってるので、「2021年3月23日まで」のようです。
・AfterShokz Aeropex:Amazon
もし通話用途やオンライン会議などで骨伝導ヘッドホンを使いたいのであれば、同じ AfterShokz 社の「OpenComm」をお薦めします。Aeropex を元にして作られていて、音質は同じで値段もほぼ同じくらい。しかしマイクの性能、特にノイズキャンセリングの性能が秀逸で、現在のオンライン会議需要も相まって、かなり売れてます。
・OPENCOMM:AfterShokzJP
・AfterShokzの骨伝導モデル「OpenComm」が1位を獲得!ヘッドホン売れ筋ランキング <e☆イヤホン>:PHILE WEB・・・ちなみに Aeropex は2位、Aeropx Play が3位でした。
公式の製品紹介動画↓↓
ちなみに以下のページは OpenComm が製品リリース前に行ったクラウド・ファウンディングのページですが、こちらのページでノイズキャンセリング機能の性能比較音声が聞けます。
・AfterShokz OpenComm のクラウド・ファウンディングページ:GREEN FUNDING
Aeropex と OpenComm の充電ケーブルに関して追記。一見すると形状が少し異なるので、充電ケーブルに互換性が無さそうですが、実際使ってる方にも確認しましたが、互換性があるそうです。なので、Aeropex も OpenComm もどちらの充電ケーブルも両製品で使えるそうです。上記で紹介したクラウド・ファンディングサイトのページにも、販売代理店の1つである「Focal Point」のページに記載がありました(※. ただし急速充電は専用ケーブルが必要)。
なお上記の引用元のページに OpenComm に付属してる充電ケーブルの単独販売に関しても触れられていたので調べたところ、こちらも Amazon で販売していました。
【関連リンク】
・充電ケーブルのみの販売はありますか?:フォーカルポイント株式会社
本文に「購入1年後のレビュー」を追加しました。
「3. 骨伝導で使いやすい場面や状況」に iPhone で使用した場合 iPhone の設定で「大きな音を抑える」をオフにすると、周りの音がかなりうるさくても聞こえやすくなると言う Tips を追加しました。
購入から2年弱(22ヶ月目)。この間ほぼ毎日のように使ってて「特に壊れず問題も起きずすごいな」と思ってたのですが、ちょっとだけ問題が。ヘッド部分を覆ってるカバーのようなものが剥がれてしまいました。😅
そのため接着剤で固定しました。特に問題なく使えてますが、こんな風に剥がれるとは、まったく予想外でした。😅
Aeropex と OpenComm のマイク性能比較に関して、YouTube チャンネル「ねこしぃの周辺機器」の動画がとても分かりやすかったので、以下に掲載しておきます。
購入2年後のレビューと売却額について追記しました。
なお今回は最初にまだ骨伝導ヘッドホンを体感したことがない人向けに、簡単な骨伝導の仕組みとメリット・デメリットの紹介を行い、次に他の骨伝導ヘッドホンとの比較、最後にその他細かい点や裏技的使い方について書こう思います。なので、すでに骨伝導ヘッドホンを使ったことがあり「Aeropex」のレビューのみが読みたい方は『4』からお読み下さい。
【目次】
- 骨伝導で音が聞こえる仕組み
- 骨伝導で実際どう聞こえるか?音質は?
- 骨伝導で使いやすい場面や状況
- 他の骨伝導ヘッドホンとの比較
- 操作性について
- 充電について
- その他(音漏れと日本語アナウンス)
- 裏技
- 購入1年後のレビュー
- 購入2年目で売却
1. 骨伝導で音が聞こえる仕組み
「骨伝導」で音が聞こえる仕組みを簡単に説明すると、空気の振動である音が耳の中の鼓膜(※.下の画像で言うと「4」)に伝わり、いくつかの器官を経て「蝸牛」と呼ばれるカタツムリの殻の様な形の器官(※.下の画像で言うと「10」)に到達します。そこから脳に情報が伝達され音として認識されるのですが、骨を伝って蝸牛に振動が到達しても、それが音として認識されます。それが骨伝導の仕組みです。
Image by Iain(CC BY-SA 3.0)
例えば耳の穴を完全に塞いだとしても、外の音が全く聞こえなくなる訳ではないでしょう。それは骨などを伝って振動が蝸牛に伝わっているからです。
ちなみに仕組みに関しては以下のページで分かりやすくまとめられているので、もう少し詳しく知りたい方はそちらをご覧下さい。
・【骨伝導について】骨伝導ヘッドホン・イヤホンなど:ゴールデンダンスオンラインショップ
・骨伝導とは?その仕組みと音質、安全性について:補聴器専門店プロショップ大塚(認定補聴器技能者運営)
2. 骨伝導で実際どう聞こえるか?音質は?
次に上記の仕組みで実際どう聞こえのるか?と言う点について。普通のイヤホン・ヘッドホンと違って耳を塞いでいないでの、使用中でも周りの音はほとんど変わらず聞こえます。それに加えて音楽やラジオなどの音が聞こえるので、まるで脳の中だけで音が再生されてる感じです。もし漫画やドラマなどで登場する「テレパシー」が実際使えたとしたら、こんな感じで相手の声(音)が聞こえるのではないかと思います。
音質についてですが、骨伝導はそもそも高音質にするのが難しいそうです。そのため普通のイヤホン・ヘッドホンと比べると、骨伝導ヘッドホンは音質的には少し物足りない感じがします。今回紹介する「AfterShokz Aeropex」は骨伝導ヘッドホンの中では音質がかなり良く、普通のイヤホン・ヘッドホンと比べても音質的に特に不満はありませんが、それでも高音質のイヤホンと比べると、臨場感にやや欠ける感じがします。
あと骨伝導ヘッドホンだと、音量があまり大きくは出せないそうです。今回紹介する「AfterShokz Aeropex」は骨伝導ヘッドホンの中では割りと大きな音で聞けますが、私が試した他の骨伝導ヘッドホンだと、あまり大きな音は出せませんでした。なお音量に関しては裏技的なやり方もあるので、興味があれば下記『8』の「裏技」を見てみて下さい。
3. 骨伝導で使いやすい場面や状況
骨伝導ヘッドホンのメリットと言えば、何と言っても「周りの音が聞こえること」でしょう。使用中も使用してない時とほとんど変わらず、周りの音が聞こえます。そのため夜道や車通りが多い道などでは、周りの状況が音でも把握できるので、安全に移動することができます。また職場や自宅などでは周りの人と会話しながら音楽等が聞けるので、円滑なコミニケーションが図れるでしょう。
しかし「周りの音が聞こえる」と言うことは、良いことばかりではありません。例えば車通りの多い道では車の走行音は結構うるさいので、それが影響して骨伝導ヘッドホンの音が聞こえづらくなります。ただこの場合でも音楽を聞いてる場合は、必ずしも音を一音一音正確に聞く必要はないので、あまり気にならないかもしれません。しかしラジオで誰かが喋ってるのを聞いたり誰かと通話ししてる場合は、聞き取りづらいこともあるでしょう。
※. Tips: iPhone で使用する場合「大きな音を抑える」と言う設定をオフにすると、周りがかなりうるさいくても聞こえやすくなります。ちなみに iOS 15 の場合 [サウンドと触角 >ヘッドホンの安全性] のところに設定があります。
ちなみに「電車やバスで通勤・通学する際に使いたい」と考える方もいるかもしれませんが、電車やバスの車内は想像してる以上にうるさいので、骨伝導は向いてないです。それでも「どうしても周りの音が聞こえる状態で音楽等を楽しみたい」と言う方は「AirPods Pro」を始めとするマイクで集音して周りの音も聞こえるイヤホン・ヘッドホンがいくつか出ているので、そちらを買った方が良いと思います。
・Appleストア名古屋栄でAirPods Proを試してみた感想 : Kyu3’s Blog
・ソニーのノイキャン&外音取り込み機能付きワイヤレスイヤホン「WI-SP600N」レビュー(追記あり) : Kyu3’s Blog
4. 他の骨伝導ヘッドホンとの比較
今回購入前に「AfterShokz Aeropex」を含め、4つの骨伝導ヘッドホンを試しました。試したのは同じ AfterShokz の製品「AfterShokz Air」と「Titanium」、そして Amazon でも売ってた1万7千円くらいする中国メーカー(※.メーカー名を忘れてしまいました)の製品です。
ちなみに試した場所は名古屋市内にある「ヨドバシカメラ マルチメディア名古屋松坂屋店」です。現在はどうか分かりませんが、私が行った時は上記の4製品が全て試聴可能でした。なお AfterShokz の製品はそれなりに知名度も人気もあるので、主要都市の主要駅前等にある大きな家電量販店に行けば、たぶん置いてて試聴できるのではと思います。
実際試した感想ですが、この4つの製品の中では「AfterShokz Aeropex」が一番良かったです。音質、特に音の明瞭さは他製品の数段上と言う感じでした。加えて他製品では5〜10分聞いたあとヘッドホンを外すと、ヘッドホンの振動部が触れていた部分(耳とモミアゲの間)が少しジンジンしましたが、「AfterShokz Aeropex」はそれがまったくありませんでした。ちなみに購入後2・3時間連続で聞き続けたこともありますが、その時もジンジンすることはありませんでした。
Aeropex の音を出す振動部分↓↓
<
ちなみに装着感に関して言うと「AfterShokz Aeropex」と「Air」はほとんど差は感じませんでしたが、それでも「Aeropex」の方が良かったです。
5. 操作性について
次に Aeropex の操作性についてですが、正直 操作性はあまり良くありません。音量以外の操作は、基本的に左側に付いてる「マルチボタン」1つで行うのですが、このボタンが少し押しにくいうえ、割り当てられてる操作を覚えなくてはならず、それがちょっと面倒です。
ちなみにマルチボタンに割り当てられてる機能と操作方法は、以下の通りです。
- 「音楽再生 / 一時停止」→ マルチボタン 1回押す
- 「次の曲にスキップ」→ 音楽再生中にマルチボタンを連続 2回押す
- 「前の曲にスキップ」→ 音楽再生中にマルチボタンを連続 3回押す
- 「電話に出る」→ マルチボタン 1回押す
- 「電話を切る」→ マルチボタン 1回押す
- 「現在の通話を切って2つ目の着信に出る」→ 通話中にマルチボタンを 2秒間長押し
- 「通話を拒否する」→ 着信時にマルチボタンを 2秒間長押し
- 「音声ダイヤル」→ マルチボタンを 2秒間長押し
- 「最後に発信した番号にリダイヤル」 → 音楽停止中にマルチボタンを 連続2押す
マルチボタン↓↓
ただ実際上記の機能を全て使う訳ではないので、必ずしも全部の操作方法を覚える必要はないでしょう。しかし意図せず他の機能が実行されることもあるので、ある程度覚えておいた方が良いかとは思います。ちなみに私はこれまで2回ほど誤って「リダイヤル」を実行してしまい、焦りました。
あと音量ボタンは『+』(プラス)ボタンが電源ボタンを兼ねています。こちらに割り当てられてる機能と操作方法は、以下の通りです。
- 「音量上げる」→『+』ボタンを 1回押す
- 「音量上げる」→『-』ボタンを 1回押す
- 「電源オン」→『+』ボタンを 2秒間長押し
- 「電源オフ」→『+』ボタンを 3秒間長押し
- 「ミュート」→ 通話中に『+』と『-』ボタンを約 2秒間長押し
- 「イコライザー切り替え」→ 音楽再生中に『+』と『-』ボタンを約 3秒間長押し
- 「バッテリ残量チェック」→ 音楽静止時に『+』か『-』ボタンのいずれかを 1回押す
音量調整ボタンと電源コネクタ↓↓
ちなみにこの音量ボタンも右耳の後ろ側になる部分にあって押しづらいので、私は Aeropex の操作はほとんどスマホで行っています。
6. 充電について
次に充電について。 Aeropex はこれ以前に発売された AfterShokz の製品「AfterShokz Air」や「Titanium」と違って MicroUSB ケーブルでなく、独自方式の充電ケーブルで充電する必要があります。
付属してる独自方式の充電ケーブル↓↓
このケーブルは接続部分に磁石が入っていて、接続や取り外しが簡単にできます。また水分が付いてないかを検出する機能もあるので、使い勝手自体は結構良いと思います。しかし外出先で充電したい場合はこのケーブルも持って行く必要があるので、その点はちょっと面倒かもしれません。ちなみにこのケーブルは、Amazon で単体で販売されています。
あと仕様ではバッテリー駆動時間が「8時間」、満充電にかかる時間が「2時間」となっていますが、だいたい仕様通りだと思います。
7. その他(音漏れと日本語アナウンス)
次に上記で触れていない細かな点について2つほど。まず「音漏れ」に関してですが、Aeropex を買う前に店員さんに付けてもらって試したのですが、ほとんど気になりませんでした。相手の耳がくっつくくらい近づいたり、あるいは振動する部分に触れるようなことがあればそれなりに音が聞こえるかもしれませんが。音漏れは普通のイヤホンとほとんど変わらないと思います。
次に「音声アナウンス」に関して。Aeropex は電源オンオフや Bluetooth 接続完了など、様々な操作で日本語の音声アナウンスが流れます。日本語で接続完了や操作内容が分かると言うのは、分かりやすくて良いと思います。ただ音声案内の音質や声が、あまり良くないのが少し気になります。
8. 裏技
あとちょっとした裏技的使い方について。上記の通り骨伝導ヘッドホンは周りの音に影響を受けるので、うるさい場所だと聞きづらいです。しかしそれに対処する方法もあるにはあります。それは耳の中に指など何かを入れることです。これによって外からの音を一定程度遮断したうえ、耳の中で骨伝導ヘッドホンの音が反響する(?)のか、それなりに大きな音で聞くことができます。ちなみにこのため用と思われる少しサイケデリックな耳栓が、製品に付属しています。
付属品の耳栓↓↓
ただしこの方法で聞こえる音は、かなりこもった音になります。そのため一時的対処法としてこのやり方をするのは良いと思いますが、長時間このやり方をするのはお薦めしません。それにそもそも耳に何か入れた状態で長時間聞くのなら、普通のイヤホンを使った方が良いと思いますし。
ちなみに冬場だとイヤーマフなどの耳あてを一緒に使用しても、音を少し大きくすることができます。この場合はこもった音にはならないので、結構お薦めです。
・「耳あて」で検索:Amazon.co.jp
9. 購入1年後のレビュー
最後に購入後1年過ぎたので、その間どうだったかについて書こうと思います。1年以上経ちましたが、その間ほぼ毎日使っていますが、特に問題なく使えています。まれに接続が切れてしまう不具合が発生しました(1年間で2・3回?)が、切れてもすぐ接続が復活するので、特に気になりません。なので、丈夫さと言う意味でも謳われてる通りだと思います。
あと「5. 操作性について」で書いた間違ってリダイアルしてしまう問題も最初のうちだけで、その後気をつけてるので、まったく起きなくなりました。
10. 購入2年目で売却
購入から2年間ほぼ毎日のように使いましたが、特に問題なく使えてました。バッテリーの劣化も感じませんでしたが、1つ気になる点がありました。それは装着時の後頭部の飛び出し。
あと新しいのがそろそろ買いたいと言うのもあって、Aeropex を eイヤホンで売却し「OpenRun Mini」を購入しました。
・Shokz ショックス AEROPEX コズミックブラック:e☆イヤホン
Shenzhen Shokz Co., Ltd.
ちなみに eイヤホンでの売却額は「上限6500円」(2022年9月現在)とのことでしたが、「追記 その9」で買いたようにヘッド部分のカバーが外れてしまい、それをボンドで直したので、残念ながら「4500円」でした。
あと「OpenRun Mini」は Aeropex とほぼ性能は同じです。しかし後頭部側の部分が少し短いのと、急速充電が付いています。もし感電量販店等で装着してみて後ろの出っ張りが気になるようでしたら、こちらの「OpenRun Mini」がお薦めです!
【関連リンク】
・AfterShokz Aeropex 公式ページ
【関連記事】
・音が良く作りや使い勝手も良いHarman Kardonのワイヤレスイヤホン「FLY BT」レビュー : Kyu3’s Blog
・Appleストア名古屋栄でAirPods Proを試してみた感想 : Kyu3’s Blog
・タグ「イヤホン」 : Kyu3’s Blog・・・上記以外のイヤホン関連の記事が見られます。
【追記(2020年11月27日)】
AfterShokz の日本語公式 Twitter アカウントで知ったのですが、Aeropex の後ろ側のネックバンド部分がひと回り小さくなった製品が発表されていました。もし普通の Aeropex だとバンド部分が大き過ぎると感じるのであれば、こちらの製品にしてみてはいかがでしょう?
ティーンエイジャーの皆さんのための新製品「Aeropex Play」登場👏🎉
— AfterShokz (@AfterShokzJapan) November 15, 2020
バンドが一回り小さくなり、装着しやすくなりました👧👦
最大音量制限機能で安心をプラス🤭
詳しくはこちら👉 https://t.co/A4rZvE075n pic.twitter.com/wb12fElH0A
【関連リンク】
・AfterShokz Aeropex Play 公式ページ
【追記 その2(2020年12月1日)】
『PC Watch』の記事で知ったのですが、AfterShokz が12月10日から 2021個限定で福袋を販売するそうです。価格は 2万210円で、2個骨伝導ヘッドホンが入っていて、必ず1個は Aeropex が入ってるとのこと。もし購入を検討してる人がいたら、こちらを購入してみてはいかがでしょう?
・AFTERSHOKZ GIFT BOX 2021 ニューイヤー福袋キャンペーン:AfterShokzJP・・・公式ページの福袋販売ページ。
🎉毎年恒例🎉AfterShokz福袋の季節がやってきました🎁
— AfterShokz (@AfterShokzJapan) December 1, 2020
今年も骨伝導ヘッドホンをペアでご用意😉
数量限定で12月10日発売❗最大16,150円もお得になります😲https://t.co/uXbsfAskuF pic.twitter.com/sIXb7WtDLN
【関連リンク】
・AfterShokz、骨伝導ヘッドホンが2個入った福袋:PC Watch
【追記 その3(2021年1月29日)】
骨伝導ヘッドホンの使用感について追記。使用感として一番近い感覚は、たぶんスピーカーだと思います。スピーカーで音を聞いてるんだけど、周りの人には音がまったく聞こえていない状態。使ったことがない人にはちょっと分かりづらいかもしれませんが。
あとこれだと『3』の「骨伝導で使いやすい場面や状況」で書いた騒音の問題が伝わりやすいと思います。周りの音がうるさい場所でスピーカーで音楽等を聞くと、当然周りの音に影響を受け、音楽が聞こえづらくなります。
【追記 その4(2021年3月21日)】
Twitter で知ったのですが、Aeropx の4色中3色が、Amazon のタイムセールになっていました。通常約2万円が1万5千円になってるので、購入を考えた方は、この機会に購入してはいかがでしょう?ちなみに期限は現在「残り2日」となってるので、「2021年3月23日まで」のようです。
・AfterShokz Aeropex:Amazon
『AfterShokz Aeropex 骨伝導ワイヤレスヘッドホン』がAmazonでタイムセールに。
— 寺島壽久/ゲームキャストの中の人 (@gamecast_blog) March 21, 2021
骨伝導なんでDiscordやClubhouseを聞きながら周囲の音が聞こえるので引きこもり生活ではかなり助かっている(あと深夜の通話散歩時も役立ってる)。岩崎さんのお勧めで買ったがマジ良いhttps://t.co/my7Xhmv7Gp pic.twitter.com/wazbqfYGsX
【追記 その5(2021年4月17日)】
もし通話用途やオンライン会議などで骨伝導ヘッドホンを使いたいのであれば、同じ AfterShokz 社の「OpenComm」をお薦めします。Aeropex を元にして作られていて、音質は同じで値段もほぼ同じくらい。しかしマイクの性能、特にノイズキャンセリングの性能が秀逸で、現在のオンライン会議需要も相まって、かなり売れてます。
・OPENCOMM:AfterShokzJP
・AfterShokzの骨伝導モデル「OpenComm」が1位を獲得!ヘッドホン売れ筋ランキング <e☆イヤホン>:PHILE WEB・・・ちなみに Aeropex は2位、Aeropx Play が3位でした。
公式の製品紹介動画↓↓
アフターショックス
ちなみに以下のページは OpenComm が製品リリース前に行ったクラウド・ファウンディングのページですが、こちらのページでノイズキャンセリング機能の性能比較音声が聞けます。
・AfterShokz OpenComm のクラウド・ファウンディングページ:GREEN FUNDING
【追記 その6(2021年4月17日)】
Aeropex と OpenComm の充電ケーブルに関して追記。一見すると形状が少し異なるので、充電ケーブルに互換性が無さそうですが、実際使ってる方にも確認しましたが、互換性があるそうです。なので、Aeropex も OpenComm もどちらの充電ケーブルも両製品で使えるそうです。上記で紹介したクラウド・ファンディングサイトのページにも、販売代理店の1つである「Focal Point」のページに記載がありました(※. ただし急速充電は専用ケーブルが必要)。
2. AfterShokz Aeropex用の充電ケーブルは使えますか?
A. AfterShokz OpenCommと、AfterShokz Aeropex用の充電ケーブルは互換性があります。しかし、急速充電に対応しているのはOpenComm同梱のケーブルのみとなります。
※. 「【FAQ】充電用ケーブルについて | 【AfterShokz】次世代型骨伝導ヘッドセット OpenComm…FOCAL GADGET」より引用。
なお上記の引用元のページに OpenComm に付属してる充電ケーブルの単独販売に関しても触れられていたので調べたところ、こちらも Amazon で販売していました。
【関連リンク】
・充電ケーブルのみの販売はありますか?:フォーカルポイント株式会社
【追記 その7(2021年9月21日)】
本文に「購入1年後のレビュー」を追加しました。
【追記 その8(2021年10月24日)】
「3. 骨伝導で使いやすい場面や状況」に iPhone で使用した場合 iPhone の設定で「大きな音を抑える」をオフにすると、周りの音がかなりうるさくても聞こえやすくなると言う Tips を追加しました。
【追記 その9(2022年4月9日)】
購入から2年弱(22ヶ月目)。この間ほぼ毎日のように使ってて「特に壊れず問題も起きずすごいな」と思ってたのですが、ちょっとだけ問題が。ヘッド部分を覆ってるカバーのようなものが剥がれてしまいました。😅
そのため接着剤で固定しました。特に問題なく使えてますが、こんな風に剥がれるとは、まったく予想外でした。😅
【追記 その10(2022年5月9日)】
Aeropex と OpenComm のマイク性能比較に関して、YouTube チャンネル「ねこしぃの周辺機器」の動画がとても分かりやすかったので、以下に掲載しておきます。
【追記 その11(2022年9月28日)】
購入2年後のレビューと売却額について追記しました。